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盛岡家庭裁判所一関支部 昭和51年(少イ)2号 判決 1977年3月28日

被告人 株式会社 日立水沢製作所

右代表者代表取締役 水野晶

金敏

主文

被告株式会社日立水沢製作所および被告人金敏をいずれも罰金八、〇〇〇円に処する。

被告人金敏が右罰金を完納しないときは、金一、〇〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告株式会社日立水沢製作所は、水沢市真城字北野一番地に本店を置き、同所に北野工場を設けて主としてテレビの部品であるフライバックトランス、偏向ヨーク等の製造、販売を業とするもの、被告人金敏は、被告会社の第二製作課長として、同課に所属する労働者に関する事項について被告会社のため行為するものであるが、被告人金は、被告会社の業務に関し、別紙のとおり、昭和五〇年九月一日から同年一二月八日までの間、前後六三日間にわたり、右北野工場第二製作課において、満一八歳に満たない○生○雄(昭和三三年七月一三日生、当時一七歳)を、有機溶剤である一・一・一-トリクロルエタン(別名メチルクロロホルム)の蒸気を発散する場所における業務に就かせ、もつて満一八歳に満たない者を衛生に有害な場所における業務に就かせたものである。

(証拠の標目)<省略>

(法令の適用)

被告人金敏の判示所為は労働基準法第一一九条第一号、第六三条第二項、罰金等臨時措置法第四条、女子年少者労働基準規則第八条第三三号に該当するので所定刑中罰金刑を選択し、被告会社については、右被告人はその使用人であつて、その行為が被告会社のために為されたものであるから、労働基準法第一二一条第一項により同法第一一九条第一号、罰金等臨時措置法第四条の罰金刑に従い処断することとし、その金額の範囲内で被告会社および被告人金をいずれも罰金八、〇〇〇円に処し、被告人金については、刑法第一八条により右罰金を完納しないときは、金一、〇〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。

なお、被告人金敏の判示所為は一八歳に満たない○生○雄を同被告人がその職場の責任者として同一意思にもとづき、一定期間継続的に同一の有害な場所における業務に就かしめたものであるから、これを全体として包括し一罪とみるべきであり、この点同じ労働基準法違反であつても、一日を一単位としてその罪数を考えるべきものとされる年少者又は女子労働者を深夜業務に就かせるような事例(最高裁第一小、三四・七・二決定、最高刑集一三巻七号一〇二六頁)とはその基準を異にするものといわなければならない。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 長崎裕次)

別紙

番号

違反年月日

(昭和五〇年)

番号

違反年月日

(昭和五〇年)

1

九・一

33

一〇・二九

2

〃・二

34

〃・三〇

3

〃・三

35

〃・三一

4

〃・四

36

一一・四

5

〃・五

37

〃・五

6

〃・六

38

〃・六

7

〃・八

39

〃・七

8

〃・九

40

〃・八

9

〃・一〇

41

〃・一〇

10

〃・一一

42

〃・一一

11

〃・一二

43

〃・一二

12

〃・一三

44

〃・一三

13

〃・一六

45

〃・一四

14

〃・一七

46

〃・一五

15

〃・一八

47

〃・一七

16

〃・一九

48

〃・一九

17

〃・二〇

49

〃・二〇

18

一〇・七

50

〃・二一

19

〃・八

51

〃・二二

20

〃・九

52

〃・二四

21

〃・一三

53

〃・二五

22

〃・一五

54

〃・二六

23

〃・一六

55

〃・二七

24

〃・一七

56

〃・二八

25

〃・一八

57

〃・二九

26

〃・二〇

58

一二・一

27

〃・二一

59

〃・二

28

〃・二二

60

〃・三

29

〃・二三

61

〃・四

30

〃・二四

62

〃・五

31

〃・二七

63

〃・八

32

〃・二八

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